お医者さん悩む

医師も大変です。こういうアンケートに答える医師はそもそも良心的なのでしょうけれど、医療費がこのままではいけない(破綻する)ということが世論として形成されつつある中での、色々な問題点や声なき声が出てるようで面白かったです。

 

ま、鍼灸師はもっと大変ですが…

 

Doctors Community10周年 注目トピックスと10年後の医療

 「不必要な医療あり」が9割超◆Vol.6

2014年10月29日(水) 池田宏之(m3.com編集部) 

Q.6 「不必要な医療」の存否

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 Q.6では、医師が過剰に検査・投薬をしたり、患者が不必要な薬を求めるなど、「不必要な医療」が医師の負担になっているとの指摘が、一部にあることを踏まえて、「不必要な医療」の存否を聞いた(回答数:526人)。

 最も多かったのは「医師、患者ともにある」で、83.5%に上った。「医師のみにあり」が1.3%、「患者のみにあり」が6.7%で、合計91.5%が「不必要な医療がある」との認識だった。「なし」は、わずか8.6%にとどまった。

  卒後20年をめどとして「45歳以上」と「45歳未満」に分けてみると、「不必要な医療がある」との回 答は、「45歳以上」で90.9%、「45歳未満」では94.3%となり、若い世代の方が、「あり」との認識が若干高かった。わずかではあるが、経験年数 を積んでいくことで、必要性を理解できる医療、あるいは「やむを得ない」と考える医療が存在する可能性を示唆した。

  「不必要な医療」の具体的例について、任意で聞いた。多かったのは、「患者のコンビニ受診」「風邪薬」 「訴訟を避けるための検査」「胃ろうなどの終末期医療」を指摘する声だ。「必要のない医療をしないと患者の信頼が得られない」「診療単価が下がっているの で、『もっと検査を!』という院長がいる」という意見もあった。

 「不必要な医療」として挙げられた具体例は以下の通り。

 

【経営に関する問題】
診療単価が下がっているので、「もっと検査を!」という院長。いやそれ違う。
医療費の取り合いに発展する過剰医療。
・某私立病院を受診すると、必要ない検査まで多数実施される。患者はいろいろ検査してもらったと喜んでいるらしい。赤字病院が一気に黒字化!
・病院経営のため、客単価を上げるにはどうするべきか真剣に考えている医療者、特に管理者。また、そうしなければ経営が成り立たない状態に追い込んでいる厚生労働省、国。

 

【薬・検査】
・特に精神科の向精神薬認知症外来の認知症薬、整形外科の骨粗鬆症薬、泌尿器科の自律神経系内服投与など。その投薬で本来の症状が改善するどころか、ポ リファーマシーで薬剤性医原病となり、不必要な入院まで増える。患者が無駄に医療を求め、医者がそれに答える形で病気を作り、無駄な入院が増え、医療費が 右肩上がり!
・慢性的な経口摂取不能はPEGの適応なし。ただ、PEG増設しないと療養型病院への転院が難しく、施行せざるを得ない。家族もそのような患者に対し、不必要な治療を求める。
風邪の抗生剤処方。そもそも風邪の保険診療。湿布の保険適応。
・どうでもいい検査を提案。どうでもいい検査を希望。
回復の見込みの無い人の胃瘻、抗認知症薬。
・中心静脈ポート、胃瘻、健診における胃バリウム検査。
・食思不振ですぐに点滴。
・保存的治療で十分な脳出血でもコストのため手術する脳神経外科医など。
・ルール破りの不妊治療、命の選別。
腰痛患者に7種類の鎮痛薬を含む22種類の薬が処方されていた。
・医者は無駄な抗菌薬投与や無駄な入院治療をして経営に転嫁している。
・不必要な検査や投薬は完全に無くすことはできないが、ある程度の歯止めは必要と思う。看護師任せで漫然と処置をするケースは多いと思う。また患者も自己 負担が少ない人は後発品をいやがる。 ・初診時の採血で、検査の評価料をもらうために一項目当たり少ない量で多くの種類の検査をする医者。
・頭部打撲で救急病院受診患者の場合、不必要と思われる場合も頭部CT撮影しておかないと見逃しと追及される恐れがあるので、全例撮影するような、「防衛医療」が避けられない現状がある。

 

【患者問題】
生半可な知識で要求が激しい患者がいる。
・症状の経過を見て後に診た医師が、前医を批判したり中傷したりする医師も多く、患者もうわさなどに振り回されドクターショッピングしている。
不必要な医療行為をしなければ、患者の信頼が得られないと感じることもある。
・何も処方しないと患者から不満を訴えられるので、かぜ薬なり何らかの処方をする。
・とにかく専門医(実際は専門医でなくても患者さんが判断)受診したり、すぐ転医したりする患者。
・一方的に患者権利を擁護する時代の流れがその原因となっている気がする。
治療の必要がなくなっているのに、療養の場がない、家族が見られないなどの理由で退院しない患者。
・中国人が国保で受診し、一時帰国の度に長期大量処方を要求する。
複数の診療科受診あり、重複を認めることがある。
・多数の病院を同じ患者が同じ科で受診。症例数でいい病院を決める。
・風邪薬や鎮痛薬・湿布薬など予防的に持っておきたいとの希望多い。全て断っている。
・患者を指導していくのも医者の責任。
・適応外手術を受けることによる生命保険収入。
生活保護患者が、治療により必要のなくなった薬の処方を引き続き要求する。
医療に対する認識にズレがある上、情報過多な状況からある程度、仕方がないのではないか。

 

【制度】
医療費が増える原因は様々あるが、大きな要素は終末期医療である。特に、尊厳死を認めない現在の法律では、必要以上に終末期医療に金がかかる。政府が医療費を削りたいのであれば、自ら尊厳死を考え、法律化することが求められる。また、不必要な検査投薬の原因の一つに、訴訟対策があり、医療事故は全例免責とすれば、不必要な医療費は減るはず。
出来高払いを一般医療でも考え直すべき。
・もともと、日本では、医療機器も、薬品も多すぎて、供給過剰であって、その背景に企業と政府・官僚のつながりがあることは否めない。よって、今後も続くであろう。
・玉石混淆の論文、データ、不必要な医学書、無茶苦茶なガイドライン。不必要悪の専門医。
・日本は、自由開業医制であり、出来高払い制、イギリスはGPがある地域のプライマリケアを最小のコストで担う。自ずと、我国の医療は出来高払いのため、アメリカに近く、不必要な医療も必要悪として生じ得るであろう(あくまで推測の域ではあるが)。