血圧をどれだけ下げるか

 人間世界と同じく?医療の世界でも絶対これが正しいってことは無いわけです。「今」の技術や知識の及ぶ範囲で、体質によって、場面によって、年齢によって、収入によって(日本は幸せ)、「思い」によって、変わります。しかも、「今」の技術や知識は、ほんのわずかな期間で変わり、服薬する・しない、手術する・しない、で違う結論を導き出すことになります。隣町のお医者さんが違う診断をすることもあります。
 良い、悪いでは無く、医師でさえそんなものだ、限界のあるものなのだと思っておく必要があります。すべてお見通しだ!とはいきません。

 私がこの世界に入った20数年前、腰の痛みがある患者さんは、ヘルニア、ヘルニアおっしゃっていました。診断を受けておられなくても腰が痛いと「ヘルニアかしら?」と言った具合です。座骨神経痛、と言う方も多くおられました。我々が治療してもヘルニアがあるから(治らない)と思い込んでおられるわけですが、でも、やはり、治療して楽になる日が出てくると私はこう言います。「ヘルニアが神経を圧迫しているなら、今日が楽で昨日が痛いとか、そんな差が出るのはおかしくないですか?そんなに出たり引っ込んだりするものじゃ無いですよ」患者さんは何となく納得されて希望を持つのですが、また少しぶり返すと「ヘルニアが…」と椎間板のヘルニアが神経を痛めつけてるイメージが出てくるのです。その頃はCTぐらいでしたが、やはり画像で見せられ、痛みの原因はこれだよと言われると焼き付いてしまうんですね。
 ところが、今ではどうでしょう。腰痛で椎間板のヘルニアがどうこう言われることがかなり減っております。整形外科がやっと我々に追いついてきました(^^;)。おかげで飛び出た椎間板をイメージして悩む患者さんは減ったと思いますし、それを除くための手術もされることが減りました。もともと手術は成果が五分五分だとか、長期(10年後とか)でみたら、してもしなくても同じ結果だというお勧めしにくい商品であり、本当にヘルニアが原因なのか?ということと、飛び出たところが分解されて無くなる事が分かってきたこともあり、厳格に適用された結果、手術は減ったわけです。

・医療は改良され進化していく。その前提として、今は完全では無い。
・医師による診断は、時に悪いイメージの植え付けになる。患者側がそれを求めてしまう。
鍼灸師にもできることがあるぞ(^^)/

一般論で済みませんが、患者さんから聞いて、これいかんなあと思うことです。

運動機能について医師は自分の範囲を超えると:
「年のせい」で片付けるのですが、自分の持っている枠内でできることはあるわけです。
時流に乗った「ゴミ箱診断」をする。今なら脊椎管狭窄症とか。

ただし、医療の世界は進んでいます。4000年の伝統とかいって安穏とはできないのです。というか、していません。我々鍼灸師も常に進んでいくのであります。整形もずいぶん進歩しました。それには、患者さんを直接触るリハビリのフィードバックが大きいと思います。リハビリ分野での成果を取り込みつつ、負けない鍼灸を目指していくべし。

 すみません、まとまりなく関係ない話が続きました。

 そんなわけで、タイトルに戻ります。あくまでガイドライン、これまた絶対視することはいただけませんが、今の段階でより多くの人に当てはまる、より良さそうな結論が、実用的な範囲に収まって、製薬会社の陰謀(無駄に血圧を下げさせる)だ!とか言われない方向に進んだと言うニュースです。まじめに上を140までにしなくては!、と考えていた75歳以上の方は、ほっとして血圧が下がるんじゃないでしょうか(^^;)

高血圧ガイドラインを改訂 「二重基準」を解消
共同通信社 2014年4月2日(水) 配信

 日本高血圧学会は1日、2009年以来5年ぶりに改訂した医療者向けの手引「高血圧治療ガイドライン」について東京都内で説明会を開き、高血圧の診断基準値と降圧目標値を統一するなどの要点を発表した。医療現場からは「"二重基準"が解消され、治療が進めやすくなる」と評価する声が上がっている。

 改訂版では、高血圧の診断基準(降圧薬治療開始基準)は従来の「収縮期140以上、拡張期90以上」を維持。一方、血圧を下げる努力目標である降圧目標を「若年・中年者高血圧」の場合、「130未満、85未満」から「140未満、90未満」に改訂し、診断基準と統一した。75歳以上は「140未満、90未満」から「150未満、90未満」に変更。糖尿病の場合などは変更しなかった。

 このため、例えば「収縮期134、拡張期84」に血圧が下がった若年・中年者高血圧患者は、これまでと異なり降圧目標を達成することになる。

 また医療機関で測る「診察室血圧」より、原則として家庭で朝晩各2回ずつ測定する「家庭血圧」の平均値を、治療上優先することも明記した。

 ガイドライン作成委員長の島本和明(しまもと・かずあき)札幌医大学長は、降圧目標の変更について「降圧薬の治療開始基準との間にギャップがあり、医療現場に混乱を招いていたので是正した」と説明。「より実用的なガイドラインになったと思う」と話している。

 ※降圧目標

 高血圧治療で血圧を下げる目標となる数値。年代や他の病気の有無によって数値が異なる。旧高血圧治療ガイドラインで、降圧目標は本来"努力目標"として設定されたが、医療現場では「達成が半ば義務化」(医療関係者)していた。降圧薬を使っても、これまでの降圧目標の達成は一般的に難しいとされ、有用性を疑問視、批判する声も上がっていた。

引用以上