健康器具

かねてより苦々しく思っていた部分にちょっとしたメス。

「セールストークに景表法を適用して処分を行うのは、1970年以来43年ぶり」だそうです。
放置されているように見える健康(についての弱みにつけ込んだ)商法の中でも特に取り締まりにくい口頭説明について処分を行う決定が行われたことが、ニュースな部分。

以下は消費者庁の「景品表示法関連報道発表資料」の該当部分です。読んでると買いたくなってきます。すごいなあ(^^;)。
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/131017premiums.pdf

健康商法(色々ありますが)の売り方がなんかイヤですね。
まず、根拠なく「治る」と言う。言い切られると弱いです。
それから、価格をなかなか言わない。高すぎますしねー。いろいろな会社があると思いますが、電位治療器の価格はだいたい40-70万ですね。今回問題になったヘルス社のも40-50万でした。悪質なところは、売ってると言いません。モニター調査ですとか、病院へ送るデータを集めてるとか、わけわからん事を言いますが信じる人もあります。

信頼関係を築いて、思い込ませ、最後に値段を言って売る。高いのわかってて買わないつもりの人には、無料で電気を当てさせる代わりに、なんだかつまらない食品を、良いよと言ってちょっと高い目で売る。もしくは、逆に無料でいろいろ配って手なずけて帰す。色々わかってて割り切ってる人は良いのだけれど、そうやって通っている「しっかりした」人が結果的にサクラになって、気の弱いというか「しっかりしてない」人が買ってしまう。という感じの商売だととらえてます。
無料とはいえ販売員のセールストークをわざわざ毎日のように聞き、説得されに通ってるんだと思えばばからしいんですけどねえ。行ってる人は楽しいと言います。上手いことしてるんですね。学ばねば(^_^;)

生物の不思議

人体の不思議展という、キワモノに近い展示を見に行ったことがあります。(好評につき何度も開催され、初心が忘れられ完全にキワモノ認定受けて消えていきました。標本の元になる遺体の入手にも問題があったようです)
人体も不思議ですが、しかし、生物というのはすべて不思議そのものです。
そういった意味とはちょっと違った所で不思議さを感じさせてくれる生き物たちもあり、学生の頃習って何の模式図かと思ってたヤツ「T2ファージ」なんかもその代表じゃないでしょうか。その後年月がたって、鮮明な電子顕微鏡写真を見たときは仰天しました。模式図や無かったんですね先生!
子供の頃はアメーバなんかあこがれの的でしたね、形のない生き物! プラナリアにも大興奮です。縦に頭切ったら2頭になって生き抜く、頭近くで横に切ったら前も後ろも頭になったりもします。アメーバもプラナリアも実物はなかなか見れませんで、本やテレビで見るのみでしたが。
そして、今日久々にわくわくしました。動物もおもしろいんですけど、これはどうでしょう、生物にギアを持ったヤツがいた! なんてこった!
【生物】驚異の天然ギア構造。歯車機構を持つ昆虫が発見される : 付録部 blog-bu

サイエンス紙に載った論文だそうです。サイエンス紙のサイトにはそれ以上詳しくは載っていないようです。
http://news.sciencemag.org/plants-animals/2013/09/scienceshot-machinery-life

車輪を持った生き物はいないかもしれませんがモーターを持った生き物はいますしね。それにはクラッチだとかもあるそうで。。。えらいもんです、生き物。

問題有りの記事

サンケイ8/4の記事です。

 整体やマッサージといった医療類似行為について昨年度、国民生活センターと全国の消費生活センターに寄せられた相談が計1265件に上り、過去最多だったことが4日、分かった。相談は年々増える傾向にあり、中でも、「マッサージを受けたら骨折した」など身体被害を訴える相談が増加している。

 「ブキッ」。埼玉県に住む60代の女性は昨年4月、近所のマッサージ店で1時間半にわたって全身の指圧を受けたとき、鈍い音とともに胸に激痛を覚えた。

 息ができないほどの痛みだったが、数分で元に戻ったため、施術者に何も言わずに帰宅した。しかし、その夜に発熱して痛みが再発したため、整形外科で診てもらったところ、あばら骨の骨折と判明した。全治1カ月の重傷だった。

 国民生活センターによると、平成19年4月〜25年7月末、健康維持や疲労回復を目的とした器具を使わない手技での医療類似行為に関して計5752件の相談があった。昨年度は1265件で統計を取り始めてから過去最多だった。

 この女性と同じように、体に何らかの症状が出たという相談は、19年度の115件から年々増加。22年度には199件になり、昨年度は257件で過去最多。今年度も7月末時点で57件とほぼ同じペースで推移している。約8割は医療機関を受診したといい、うち3割以上は3週間以上の治療が必要な重傷だった。

 症状は骨折だけでなく、背骨を強い力で押されたことによる神経・脊髄損傷や、おきゅうでやけどしたという皮膚障害、関節を無理にひねられたことによる捻挫など。同センターには、「鍼灸(しんきゅう)院に治療費を払ってもらえないか」「慰謝料を請求したい」という相談がある。

 なぜ癒やされるはずの場所で、身体被害が続出しているのか。同センターの担当者は「国家資格がなくても施術できる医療類似行為がある」と説明する。

 医療類似行為の中で、国家試験があるのは、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復。その他の整体やカイロプラクティックなどは資格がなくても開業できる。相談の4割以上は、こうした無資格施術に関するものだ。無資格の施術所でも「マッサージ」という用語を使って宣伝する店は多く、資格のあるあん摩マッサージ指圧師がいる店との区別は難しいという。

 同センターは、店に行く前の入念な情報収集や、体に異変を感じている場合には医師に相談することを推奨している。

マッサージで「けが人」続々-無資格施術でトラブル増加+(1/2ページ) - MSN産経ニュース


タイトルからして、最近とみに増えている無資格者問題を取り上げる記事のはずですので、業界としてありがたく受け止めた上で物申す必要があるかと思いますが、違和感を覚える記事でした。何が問題なのか、無資格?マッサージ?鍼灸?医師以外にかかること?焦点がふらふらした記事です。
まあ、鍼灸生業にしていますので、引っかかっただけで、普通の人には問題ないと思います。でも調べると、違和感の原因が分かりました。

ちょうど1年前の国民生活センター「発表情報」があります。以下のページ末尾に報告全文のPDFがありますが、ちゃんとしてました。問題の切り分けができており、まずは心して承るべきものと思えます。

手技による医業類似行為の危害−整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も−(発表情報)_国民生活センター

サイトにはこの報告ぐらいしか見当たらなかったのですが、報道も1年前のこの報告に本年7月までの1年分の新しい数字を加えたと言う程度の内容です。
で、国民生活センターの報告書には以下の一文があります。
「施術者の手技以外の器具等を用いた医業類似行為(はり、きゅう等)や、エステティックサロン等で行われる施術については対象としていない。」

それなのに!サンケイの記事では「おきゅうでやけど」「鍼灸院」という字を混ぜ込んでいるのです。
サンケイ記者の理解のなさにあきれます。報道はこの手技についての報告書をベースにしていますし、記事中グラフの過去の数字は報告書と同じ(手技についての数字)です。そこになぜか調査対象で無い「はり」「きゅう」のことを記載しているから違和感を感じたわけですし、(鍼灸については)誤報とも言えます。とばっちりもええとこですなぁ。

ついでに言えば、報告書に要望団体として指名されている有資格者団体からの対応が無いのは気になりました。有資格者の団体として色々言いたいこともあるでしょうに、なんででしょ?カイロの団体だけ対応していました。

後日譚 2013/08/15
8/9の時点で鍼灸師会理事の堀口先生より、「担当の記者に滔々と説明した結果(^^;)、記事には誤解を招く可能性があったと謝意の表明があった」という旨の報告をいただきました。記事の訂正は求めず、今後、鍼灸師会の発する情報を把握していただくようにお願いしたとのことでした。良い結末でした!

アトピー性皮膚炎記事

また一歩進みました、アトピーの原因究明。以前にアトピーの記事を紹介した際には遺伝子の異常が原因 アトピーの遺伝について - 喜多鍼灸院日誌 とのことで、遺伝子かよ〜普通に考えたらどうしようも無いやん(でも、すげー道筋で解決出来ることを期待!)と思った物でしたが、今回は違います。近々即戦力になってくれそうな成果です。

[研究成果]アトピー性皮膚炎患者における汗アレルギーの原因物質を同定

広島大学病院ニュース 掲載日:2013年6月7日

広島大学大学院医歯薬保健学研究院の秀道広教授(皮膚科学)らの研究グループは、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる汗アレルギーの原因物質が、健康な人の皮膚にも常在しているカビの一種が作り出す蛋白質であることを初めて特定しました。アトピー性皮膚炎はかゆみのある湿疹を伴うのが特徴で、約80%の患者さんは汗に対するアレルギーがあり、汗で症状が悪化することが知られています。

研究グループは、精製した汗の成分の中からアレルギー反応によるヒスタミンの放出を目印に原因とみられる物質を絞り込んだ結果、人の皮膚に常在するマラセチア属真菌の一種であるM. globosaが産生する蛋白質と共通のアミノ酸配列を持つことを突き止めました。さらに、遺伝子組み替えで完全な形の蛋白質を作製して患者さんの血液に加えると、汗と同様のアレルギー反応が起きることも確かめました。

アトピー性皮膚炎の新しい治療やスキンケアにつながると期待されます。

ポピドンヨードでの消毒療法などは、こういう真菌を減らすことで効果が出てたんでしょうか?なるへそ。汗かくと症状悪化する理由が分かり納得だし(原因が分からない、ってのがつらいものです)、シャワーで汗を流すことの意味(この先生達は学校でのシャワー浴を推進されています)が理解出来て行動につながります。
リンク先 広島大学 お知らせの詳細 の報道発表資料は少し専門的な解説ありますので、興味のある方は見てみて下さい。

答申まとまる

2月に要チェックだと言っていた 規制改革と混合診療 - 喜多鍼灸院日誌 規制改革会議の答申がまとまりました。

規制改革会議 公表資料 - 内閣府

“答申から、農業や混合医療など担当省庁からの抵抗が大きいとされる規制改革項目が外れた” そうで、批判もあります。で、会見で以下のようなやりとりがあったのでした。

混合診療拡大も議論へ 規制改革会議の岡議長
共同通信社 6月6日(木) 配信

 政府の規制改革会議の岡素之(おか・もとゆき)議長(住友商事相談役)は5日、会議の答申を取りまとめた後に記者会見し「かなりの成果を挙げたが、いろいろな課題が残っている」と述べ、引き続き農業や医療分野の規制緩和を検討する考えを示した。具体的には、保険診療と保険外診療の併用を認める「混合診療」の範囲拡大などを挙げた。

 同会議は今回の答申に盛り込めなかったテーマについて、第2期となる7月以降、1年程度かけて検討する方針。

 岡議長は今後、「国民の関心の高いテーマに積極的に取り組みたい」と強調。混合診療の拡大のほか、政府が農地集約のために整備を目指す新組織「農地中間管理機構」(仮称)の在り方なども議論するとの見通しを示した。農協改革も検討する可能性を示唆した。

 ということで、どうなるんだろう、と思っていた混合診療はこれからの話になります。健康ビジネスについての安倍首相の考えは以下。弱みにつけ込む“治る根拠の無い”健康ビジネスって嫌いなんですが(ただし鍼灸もエビデンスが弱いと言われております(^^;))、なんだかそれを煽るような気がしないでもありません。
 まあ、安倍首相としては将来の医療費を抑えたいので(昼間のテレビで宣伝してるようなのや町で人を集めて訳の分からん物を高く売りつける商売で無く)ちゃんと効果の期待出来る物を実費で支払うように持って行きたいということでしょうから、インチキは認定されないですよね、きっと。
営利組織に皆様の健康不安を煽ってもらい、色々な物やサービスに対価を支払ってもらい、結果として疾病予防につながり、医療費抑制できる…。

首相「診療情報は宝の山」、民間主導で健康ビジネス拡大を
島田 昇(m3.com編集部) 6月6日(木) 配信

 安倍晋三首相は6月5日、都内のホテルで開かれた内外情勢調査会で講演し、規制改革に重点を置いた「成長戦略」の第3弾を発表した。医療関連では、医薬品のネット販売を解禁するほか、保険外併用療養の対象となる先進医療の拡大、診療情報の民間活用を促し、これを健康関連ビジネスの拡大の起爆剤する方針を語った。医療関連の安倍首相の講演内容は以下の通り。

医薬品ネット販売解禁とIT戦略

 インターネットによる一般医薬品の販売を解禁します。ネットでの取引が、これだけ定着した時代で、対面でもネットでも、とにかく消費者の安全性と利便性を高めるというアプローチが筋です。消費者の安全性を確保しつつ、しっかりしたルールの下で、全ての一般医薬品の販売を解禁します。

 次の参議院選挙からは、ネット選挙が解禁となります。これも、「ようやく」という感は否めませんが、IT時代に対応した大きな改革の一つです。まだまだ、日本はITの潜在的な能力を生かし切れていません。社会のイノベーション、革新的なビジネス、生産性の大幅な上昇。ITが持つ「可能性」を存分に引き出さなければなりません。今後も、IT戦略は、私の成長戦略の大きな柱であると考えています。

先進医療の審査、期間半減に

 医療の分野では、最新の医療技術を利用すると、全額自己負担になる混合診療の問題についてご指摘いただいていました。私はこの世界を大きく進化させます。最新の医療技術を、一気に普及させるための新しい仕組みを作ります。これまで、保険外併用療養の対象となる先進医療については、技術の有効性や安全性を証明する手間を申請する医療機関が全面的に負担してきました。それを学会などからの申し出を踏まえ、国が全面的にサポートする形へと切り替えます。審査についても、外部の評価機関を活用することで、期間を半減します。最先端の医療が生まれれば、速やかに先進医療と認定し、保険外併用療養の範囲を拡大します。

外国人医師も日本で医療ができる制度へ

 新しく「国家戦略特区」を創設いたします。小泉内閣が始めた構造改革特区は、地方自治体から提案を受けて、一つひとつ、古い規制に風穴を開けてきました。たくさんの特例が、その後に全国展開され、まさに、規制改革の「切り込み隊長」となってきました。今般、私が提案する「国家戦略特区」は、構造改革特区の考え方を、さらに「面的なもの」へと進化させていくものです。

 ロンドンやニューヨークといった都市に匹敵する、国際的なビジネス環境をつくります。世界中から、技術、人材、資金を集める都市を作りたい。そう考えています。しかし、この目的を達するためには、一つひとつ規制のモグラたたきをやっていても、キリがありません。国際的な街作りには、外国人でも安心して病院に通える環境が必要です。外国人がコミュニケーション容易な医師から診療が受けられるようにし、トップクラスの外国人医師も日本で医療ができるよう制度を見直します。

健康長寿ビジネス、民間主導で

 有名な「タニタ食堂」。計量器メーカーのタニタは、社員食堂で低カロリーメニューを開発するなど、社員の健康管理に取り組みました。その結果は、医療費が業界平均よりなんと2割も低く抑えられた。しかもそれだけではありません。社員食堂が、新たなビジネスとなりました。「丸の内タニタ食堂」では、健康を求めるサラリーマンが、毎日行列を作っていると言います。フィットネスや運動指導、そして食事管理。これまで想像もしなかった、健康長寿ビジネスが、民間主導でどんどん生まれつつあります。

 しかし、ここでも規制が立ちはだかっています。医療行為との線引きが分かりづらく、どこまでやっていいのか分かりづらいという問題です。そこで民間の健康・予防サービスに新規に参入しようとする人を公的に認定して、安心して事業ができるようにする新たな仕組みを作り上げます。金融面など、経済的な支援をやるためだけの認定ではありません。事前に確認を受けることで、規制のグレーゾーンを取り除き、適法なビジネスだとのお墨付きを受けることができます。規制を怖れず、どんどんこの分野に飛び込んでもらい、人々の健康ニーズに答えるサービスを提供してほしい。

疾病治療中心の保険制度を見直し

 新規参入に拍車をかけ、健康管理や疾病予防を大きく前進させるため、疾病治療中心の保険制度の運用を見直します。保険を請求するための医療明細書、レセプト業務は保険業務の効率化を目的としたものでした。これを新たな産業を生み出すために活用します。レセプトに詰まっている診療情報を分析・評価すれば、健康管理につながります。さまざまなサービスを生み出し得る宝の山です。全ての健康組合や国保などの保険者に対し、加入者の受診データの分析と評価を導入し、加入者の病歴予防に取り組むように求めていきます。現在の日本の医療費は40兆円ほど。1%でも健康予防サービスに振り向けられれば、4000億円の新たな市場が生まれます。新たな民間の多様なサービスを生み出す金の流れができます。そこから誰もが求める健康長寿社会、10年後には60兆円近くまで増加が見込まれる医療費も、今、官業を開いてくことで、その抑制にもつなげることができると確信しています。

読書の初夏

以前から気になっていた本をまとめて注文しました(*^_^*)

●まず、最初の3冊は平穏死だとか尊厳死だとかに関わる物で、ここのところ一番気になっていた物です。インタビューなどでざっくりとした内容を知って、こういう考え方もあると選択枝を持つ必要があると感じました。切実では無い「お話」としては言われていることを(延命治療はして欲しくないわあとか、機械に繋がれて寝たきりで長いこと生きててもねえとか)、実情を知っている医師が発信することに価値があります。この3冊(3人)の他に、近藤誠医師の著書も色々あります。ただし、最近やたらにこの方向性の本が出ていますので、そっちにずんずん進むのもどうかと思ったり思わなかったり(反対に近い考えの本もリスト入りしてますが未注文)。まずは読んで考えます。患者さんとも思い込みだけで話をするわけにはいきませんし。
・石飛幸三  「平穏死」という選択
・長尾和宏  「平穏死」10の条件--胃ろう、抗がん剤、延命治療いつやめますか?
・中村 仁一  大往生したけりゃ医療とかかわるな

●この1冊はどうなんでしょう…過剰医療とかも含んだ患者の甘えを糾す内容、でしょうか。この人の前著はリスト入りして結局買ってませんでしたので、こちらを読んでみます。やってきたことには賛否両論あるようですし、痴話喧嘩的もめ事を起こしてしまったこともあったりして、人間くさい感じの人です。合うか合わないか、やっぱ読んでみないと。
村上智彦  医療にたかるな

●この本は、「聴くことの力 ― 臨床哲学試論」を図書館で借りて、期限内に“ほぼ”読めなかったので、まずは読みやすそうな所からと思って…
河合隼雄鷲田清一  臨床とことば

●これは、ついに買います。ついにってほどじゃ無いですが、これ以上解剖の本増やしてもなあと思って少し(3月発行だから2ヶ月我慢?してました)考えたけれども、コレクションというか私の拠って立つ根本なので、やっぱ買うべしだなというわけで買います!そして読みます!使います!
・河上敬介、磯貝香  骨格筋の形と触察法 第2版

読む前にマンプクゥ〜



そういえば、最近読んだのに 李啓充「アメリカ医療の光と影」 があります。連載を本にしたのが2冊ありますが、それでは無くて連載中のバックナンバーをプリントアウトしてまとめて読みました。内容は多岐にわたりますが、面白かったです。
著者はアメリカ在住の医師でアメリカ医療制度の渦中の人でありながら(あるがゆえ)、過去の著書に「市場原理に揺れるアメリカの医療」「市場原理が医療を滅ぼす」がありますが(1998年と2004年発行の本です)、現連載でもやはり警鐘を鳴らし続けています。
TPPで、著者が10年以上訴えていた医療制度崩壊の危機が今や目前に!?政治家はこの程度のこと(アメリカのわりかし悲惨な現状)分かった上で話をしているのでしょうけれど、心配です。市場原理に任せましょう派の人の意見も聞かないと分かりませんが。
以下は最新の連載ページです。
医学書院/週刊医学界新聞(第3025号 2013年05月06日)

ノルディックウォーキング

日曜日は朝から堺市鍼灸師会のイベントで「ノルディックウォーキングin浜寺公園」に参加してきます(というか、主催者側です)。現在41名予定ですから、天気さえ良ければ賑やかに棒を振り回す謎の団体!お邪魔にならないように気をつけてきます。上の娘も連れて行って、丁度桜にも良い時期だし、いい汗かいてきます。
その後でチンチン電車に乗って大小路まで戻り「堺のんびりクルーズ」です。時候も良く予約が詰っていましたが14時に取れました。良い組み合わせ。独身時代ならこりゃ良いデートコースが出来たわい(ふぇっふぇっふぇ)と、ほくそ笑むところです。まあ、娘とデートでも嬉しいですね。船からもきっと満開の桜が見えますよ〜。

堺市鍼灸師会のホームページ
NPO法人 観濠クルーズSakai:大阪府堺市:観光遊覧船!

こんなことを書いているのは、きっとやらなくてはならないことが溜まっているからです(^^;)。げ、月末までに…。

年寄りの勘というのはバカに出来ないもので、年寄りというのはうちの親のことですが、最初、え〜!と思っても、結果的になかなか良かったという判断することも多くあります。
さて、浅はかなる常識として、抗生物質は貰った分だけのみなはれ残したらあかんでと、たまに膀胱炎になる母親に(楽になった時点で止めて次になったときにまた使っていました)言ってたのですが、まあ、日本は抗生物質多用しすぎだと言う話もありますが、服用した以上最後までのみきらないとあかんと思ってました。でも、以下の記事で「う〜む、結果としては案外悪くなかった」んだなと。暗に?出し過ぎと言ってますね(^^;)。とはいえ、素人判断はやはり駄目ですよ!

m3.com 東京医科歯科大学、研修医セミナー第21週「泌尿器感染症」─Vol.1

 治療は簡単です。抗菌薬3日間分出します。ここでどのぐらい出すかはいろいろです。日本は皆保険もあり、1週間出すことも多いです。エビデンスによると、膀胱炎に3日以上の投与をしてもほとんど効果の上積みはありません。逆に薬を3日以上出しているのに治らないのは、ほかの原因を考えた方がよいのかもしれません。
 推奨される治療としては、要するに何でもいいということです。抗生物質はだいたいレボフロキサシン(商品名クラビット)になります。3日間出しておけば普通の膀胱炎は治ります。






みんな

「みんな」って誰やねん。そうやって反発したくなることが時々あります。意識せず「みんな」を自分の味方に付けることもあります。
今年は皆さんいつもより花粉症がひどいみたいですね。と辛そうな患者さんと話していましたが、本当の所どんなものなのかなあと思っていたら、丁度良い記事が。

「症状重い」43% 花粉症で気象会社調査
共同通信社 3月22日(金) 配信

 今春の花粉症について、気象情報会社ウェザーニューズ(東京)が同社携帯電話サイトの利用者らに尋ねたところ、43・3%が「ここ数年の症状と比べ重い」と回答した。「同じくらい」は39・4%、「軽い」は17・3%だった。
 前年の記録的猛暑の影響で花粉が大量に飛んだ2011年の調査では「重い」43・2%、「同じ」48・7%、「軽い」8・1%。同社は「今シーズンもかなりつらい傾向にある」としている。
 都府県別では、今春の症状が重い人の割合は神奈川県がトップの53・4%で、徳島県51・9%、愛知県51・5%が続いた。上位に関東が目立つ一方、花粉シーズン入りが遅い東北や北陸は下位が多かった。
 症状が出始めた時期は、「3月上旬から」が最多の38・7%。2月下旬までに症状が出た人は計57・6%で、昨春調査での43・3%を上回った。2月上旬に一時的に暖かくなったことで飛散が早まったとみられる。
 事前対策に「いつも以上にしっかり力を入れた」人は49・0%、「いつも通り」は22・9%。都府県別では、「いつも以上」の人は長崎県が最多の35・0%だった。
 調査は8〜12日に実施、花粉症に悩む約4万2千人から回答を得た。

地域性も有るようですが、私の「みんな」は40%程度ということですね、案外低い(^^;)。やっぱり「みんな」は当てになりません。





ピロリ菌の除菌

患者さんの胃炎について話していた際にピロリ菌の除菌について話が出ました。というか、医師に言われていないか確認してみました。以前、健康診断で胃カメラをした際に慢性胃炎でピロリ菌も居てると確か言われた…とのことですが、除菌の話は出なかったと。自覚症状もなかったようなので、そんな対応だったのかも知れません。でも、今なら除菌が第一選択枝でしょうか。その患者さんが、現在胃に軽い痛みを感じているから、というだけではなく、知らなかったんですけど、本年2/21というから1ヶ月前…

ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に対する除菌の保険適用が認められた」


からです。これで保険適用範囲がぐっと広がることになります。なるほど - 喜多鍼灸院日誌のような研究や、色々なエビデンスが積み重ねられて認められるに至ったようですが、m3.comの「臨床賛否両論」によると(自主的に投票した医師732名)、推進が63%で慎重は26%、どちらとも言えないは11%ほどあります。慎重派はまだエビデンスが足りないということで、主な意見として紹介されていたのが70歳の人に行っても効果は期待できるか?除菌治療を失敗すればクラリスロマイシン耐性菌が増加するとする論文は多い、などです。
一応、除菌を安易にしないため(胃癌除外の必要性も有り)「内視鏡検査により胃炎が認められた場合」に保険適用となるそうです。

日経メディカル2013年3月号「ピロリ胃炎の除菌が保険適用、本年を「胃癌撲滅元年」に」によりますと、

 胃癌対策として、わが国ではこれまでX線法による2次予防検診が行われてきました。しかし、40年にもわたって年間約5万人が胃癌で亡くなっており、その死亡者数は全癌中2位を占めています。全国で地域、職域を含めて約620万人が公的検診を受けていますが、胃癌の発見率は0.088%(5500人)です。胃癌の発生数は約11万人。公的な胃癌検診は発生する胃癌の5%程度しかカバーしていないわけです。

と言う問題があるため大歓迎だと。
これを読むと5%しかカバーしてないなんて、胃癌検診全然いけてないのか?と思ったんですけれど、日本人口1億2千万として0.088%掛けると10万5600人。まあ、胃癌検診が40歳以上として、分母が違ってきますので、やはりあんまりいけてないんですけれど、全然じゃない。でも受診率が上がらないというところが限界だったんですね。
そういえば私も45歳になりますが、未だ一回も胃癌検診してません。


追記 2013.06.04
胃癌ピロリ菌原因説に疑義を挟む現象に「アジアのパラドックス」がありました。でも、それについても色々研究されてるんですね、というのを見つけたのでご紹介。感染症研究国際ネットワーク推進プログラムの2009年8月のニュースレターに掲載された記事です。もう4年近く前ですから、そこから研究進んだ結果として保険認定に繋がっていったんでしょうね。

ヘリコバクターピロリ感染による胃癌誘導因子の疫学的解析研究

●背景
 新興感染症起因細菌のひとつであるHelicobacter pyloriは、感染症のなかで最も普遍的な感染症のひとつである。本菌の持続的感染は胃・十二指腸潰瘍の原因のみならず、胃癌形成に直接的に関与していることが、多くの実験的成績により支持されている。本菌の感染は、幼年期に主として衛生的環境要因からくる暴露により達成され、それゆえ、開発途上国、特にアジア、アフリカ諸国では高い感染率が知られている。日本は、先進国とされているにもかかわらず高齢者層の本菌保有率が高い(約50%)が、これは以前の衛生環境の貧困によるものと考えられている。一方、本邦における胃癌の発生率は、近年の菌保有率の減少に伴うが如くに減少傾向を示しているが、依然そのレベルは高い(10万人あたりの罹患48.9)。ところが、タイを含むアジアおよびアフリカのいくつかの国では、H. pyloriの感染率は同様に高いにもかかわらず(例えばタイでは、H. pylori感染率 76%)、胃癌の発生率が非常に低い事実(10万人あたりの胃癌罹患 3.9)も報告されている。このパラドックスはAfrican and Asian enigmaと呼ばれ、食事、嗜好品等の要因がH. pyloriによる胃癌発生を修飾している可能性が示唆されてきた。しかしながら、このような要因はいまだ疫学的にも実験的にも立証されておらず、他の要因の関与が疑われている。これに関連して、近年、H. pyloriの免疫応答に、蠕虫 (helminth) のような寄生虫による複合感染が影響することが、モデル動物を使った実験により明らかされた。すなわち、蠕虫感染がH. pylori感染による胃癌誘導に抑制的に働く機序が提案された。これは、H. pyloriの感染率が高い開発途上国の一部では、蠕虫感染が風土病としても知られており、蠕虫による複合感染がHelicobacter感染による胃癌の発生を抑える方向に影響し、African and Asian enigmaを起こしているものと考えられる。
 他方、H. pyloriの病原因子のなかで、細胞空胞化毒素関連タンパク(cytotoxin-associated protein: CagA)の作用が病原性に深く関与していることが知られている。これに関連して、CagAの遺伝子であるcagAは遺伝子多型をもち、大別して「東アジア型」および「欧米型」に区分されることが近年明らかとなった。さらに、東アジア型を有するCagAは、欧米型を有するCagAに比べ病原性が高いことが示されている。
 そこで、本研究では、H. pylori感染と胃癌発生におけるAfrican and Asian enigmaを解明することを具体的な目的として、前記仮説の疫学的検証をタイで実施するため、胃癌発生における特定要因関与を解析している。タイを本研究対象国とする理由は、アジアのなかでも高いH. pylori感染率と低い胃癌発生率、さらには寄生虫の予測される高い感染率にある。これらに加え、本研究実施には、現地における検体の収集と一次解析が必須であり、本プログラムの感染症国際研究拠点であるタイ国立予防衛生研究所を本研究拠点として活用するためである。

●結果
 これまでに、タイ健常人535名から糞便を採取した。50.2%の検体でH. pylori 抗原が確認された。寄生虫検出は9.3%であった。抽出したH. pylori cagA遺伝子型の解析はH. pylori 抗原陽性検体から細菌DNAを抽出し実施した結果、約93%にH. pylori DNAが確認され、糞便中にH. pylori 抗原が検出された健常人の約18%がcagA陽性のH. pyloriに感染しており、その内訳は東アジア型約14%、欧米型約31%、型判別不能が約55%であった。したがって、タイにおいては、寄生虫の検出率が低く、寄生虫感染とH. pylori 感染の病態との関連性を示すことはできなかったが、cagA陽性H. pylori感染率が低く、さらに東アジア型cagA陽性H. pylori感染率が低いことが胃癌リスクの低い原因であると考えられた。

引用以上