お医者さん悩む

医師も大変です。こういうアンケートに答える医師はそもそも良心的なのでしょうけれど、医療費がこのままではいけない(破綻する)ということが世論として形成されつつある中での、色々な問題点や声なき声が出てるようで面白かったです。

 

ま、鍼灸師はもっと大変ですが…

 

Doctors Community10周年 注目トピックスと10年後の医療

 「不必要な医療あり」が9割超◆Vol.6

2014年10月29日(水) 池田宏之(m3.com編集部) 

Q.6 「不必要な医療」の存否

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 Q.6では、医師が過剰に検査・投薬をしたり、患者が不必要な薬を求めるなど、「不必要な医療」が医師の負担になっているとの指摘が、一部にあることを踏まえて、「不必要な医療」の存否を聞いた(回答数:526人)。

 最も多かったのは「医師、患者ともにある」で、83.5%に上った。「医師のみにあり」が1.3%、「患者のみにあり」が6.7%で、合計91.5%が「不必要な医療がある」との認識だった。「なし」は、わずか8.6%にとどまった。

  卒後20年をめどとして「45歳以上」と「45歳未満」に分けてみると、「不必要な医療がある」との回 答は、「45歳以上」で90.9%、「45歳未満」では94.3%となり、若い世代の方が、「あり」との認識が若干高かった。わずかではあるが、経験年数 を積んでいくことで、必要性を理解できる医療、あるいは「やむを得ない」と考える医療が存在する可能性を示唆した。

  「不必要な医療」の具体的例について、任意で聞いた。多かったのは、「患者のコンビニ受診」「風邪薬」 「訴訟を避けるための検査」「胃ろうなどの終末期医療」を指摘する声だ。「必要のない医療をしないと患者の信頼が得られない」「診療単価が下がっているの で、『もっと検査を!』という院長がいる」という意見もあった。

 「不必要な医療」として挙げられた具体例は以下の通り。

 

【経営に関する問題】
診療単価が下がっているので、「もっと検査を!」という院長。いやそれ違う。
医療費の取り合いに発展する過剰医療。
・某私立病院を受診すると、必要ない検査まで多数実施される。患者はいろいろ検査してもらったと喜んでいるらしい。赤字病院が一気に黒字化!
・病院経営のため、客単価を上げるにはどうするべきか真剣に考えている医療者、特に管理者。また、そうしなければ経営が成り立たない状態に追い込んでいる厚生労働省、国。

 

【薬・検査】
・特に精神科の向精神薬認知症外来の認知症薬、整形外科の骨粗鬆症薬、泌尿器科の自律神経系内服投与など。その投薬で本来の症状が改善するどころか、ポ リファーマシーで薬剤性医原病となり、不必要な入院まで増える。患者が無駄に医療を求め、医者がそれに答える形で病気を作り、無駄な入院が増え、医療費が 右肩上がり!
・慢性的な経口摂取不能はPEGの適応なし。ただ、PEG増設しないと療養型病院への転院が難しく、施行せざるを得ない。家族もそのような患者に対し、不必要な治療を求める。
風邪の抗生剤処方。そもそも風邪の保険診療。湿布の保険適応。
・どうでもいい検査を提案。どうでもいい検査を希望。
回復の見込みの無い人の胃瘻、抗認知症薬。
・中心静脈ポート、胃瘻、健診における胃バリウム検査。
・食思不振ですぐに点滴。
・保存的治療で十分な脳出血でもコストのため手術する脳神経外科医など。
・ルール破りの不妊治療、命の選別。
腰痛患者に7種類の鎮痛薬を含む22種類の薬が処方されていた。
・医者は無駄な抗菌薬投与や無駄な入院治療をして経営に転嫁している。
・不必要な検査や投薬は完全に無くすことはできないが、ある程度の歯止めは必要と思う。看護師任せで漫然と処置をするケースは多いと思う。また患者も自己 負担が少ない人は後発品をいやがる。 ・初診時の採血で、検査の評価料をもらうために一項目当たり少ない量で多くの種類の検査をする医者。
・頭部打撲で救急病院受診患者の場合、不必要と思われる場合も頭部CT撮影しておかないと見逃しと追及される恐れがあるので、全例撮影するような、「防衛医療」が避けられない現状がある。

 

【患者問題】
生半可な知識で要求が激しい患者がいる。
・症状の経過を見て後に診た医師が、前医を批判したり中傷したりする医師も多く、患者もうわさなどに振り回されドクターショッピングしている。
不必要な医療行為をしなければ、患者の信頼が得られないと感じることもある。
・何も処方しないと患者から不満を訴えられるので、かぜ薬なり何らかの処方をする。
・とにかく専門医(実際は専門医でなくても患者さんが判断)受診したり、すぐ転医したりする患者。
・一方的に患者権利を擁護する時代の流れがその原因となっている気がする。
治療の必要がなくなっているのに、療養の場がない、家族が見られないなどの理由で退院しない患者。
・中国人が国保で受診し、一時帰国の度に長期大量処方を要求する。
複数の診療科受診あり、重複を認めることがある。
・多数の病院を同じ患者が同じ科で受診。症例数でいい病院を決める。
・風邪薬や鎮痛薬・湿布薬など予防的に持っておきたいとの希望多い。全て断っている。
・患者を指導していくのも医者の責任。
・適応外手術を受けることによる生命保険収入。
生活保護患者が、治療により必要のなくなった薬の処方を引き続き要求する。
医療に対する認識にズレがある上、情報過多な状況からある程度、仕方がないのではないか。

 

【制度】
医療費が増える原因は様々あるが、大きな要素は終末期医療である。特に、尊厳死を認めない現在の法律では、必要以上に終末期医療に金がかかる。政府が医療費を削りたいのであれば、自ら尊厳死を考え、法律化することが求められる。また、不必要な検査投薬の原因の一つに、訴訟対策があり、医療事故は全例免責とすれば、不必要な医療費は減るはず。
出来高払いを一般医療でも考え直すべき。
・もともと、日本では、医療機器も、薬品も多すぎて、供給過剰であって、その背景に企業と政府・官僚のつながりがあることは否めない。よって、今後も続くであろう。
・玉石混淆の論文、データ、不必要な医学書、無茶苦茶なガイドライン。不必要悪の専門医。
・日本は、自由開業医制であり、出来高払い制、イギリスはGPがある地域のプライマリケアを最小のコストで担う。自ずと、我国の医療は出来高払いのため、アメリカに近く、不必要な医療も必要悪として生じ得るであろう(あくまで推測の域ではあるが)。

 

 

自律神経…自律神経…

「国民のための鍼灸医療推進機構 – AcuPOPJ (アキュポップジェイ)」が運営している鍼灸netというサイトがあります。ちらりとそのページを見てみると以下の記事が見つかり、鍼灸がやはりこの方面には存在を認められているのだとご紹介したいと思います。トリガーをしている明治国際医療大学の伊藤先生もシンポジストに名前が挙がっていますし、日程表を見てみると一般演題で発表もされます。さらに、東京都健康長寿医療センターの堀田晴美先生や内田さえ先生など、鍼灸が絡んだ研究もされている先生もシンポジウムの座長を務めていますね。ふーん。

歴史ある西洋医学(普通のお医者さん)の学会に、鍼灸関係の教育講演とシンポジウムが行なわれたり、鍼灸業界の先生が出たり、縁の深い先生が居たり…この学会の参加費が12000円じゃ無くて(もっと安く!)、会場が埼玉で無ければ(大阪で!)行きたいんですけど!

 

以下引用

第67回日本自律神経学会で鍼治療に関するシンポジウムと教育講演

日本自律神経学会は、1956年に国際自律神経研究会日本支部会 として発足、1973年以降は、日本自律神経学会となり、約60年の歴史を誇る伝統ある学会の一つです。すでに三回にわたり、国際会議を日本で主催してい る学会です。東洋医学の作用機序の一つとして、考えられている自律神経系のホットな話題についてその研究者による教育講演1演題 シンポジウム2演題 が 行われます。ぜひご参加ください。

 

○シンポジウム  10月30日(木)10:00~
タイトル神経内科領域の鍼灸治療
司会  ・慶應義塾大学神経内科 鈴木則宏 
埼玉医科大学東洋医学センター 山口智 

演者

神経内科領域における鍼灸治療の必要性
  埼玉医科大学神経内科 荒木信夫 
・筋・筋膜性疼痛に対する鍼治療の作用機序
  明治国際医療大学鍼灸学部臨床鍼灸学講座 伊藤和憲
・一次性頭痛の病態と鍼治療の可能性
  慶應義塾大学神経内科 鳥海春樹 
・一次性頭痛に対する鍼治療の効果とその作用機序
  埼玉医科大学東洋医学センター 菊池友和


○教育講演  10月31日(金) 9:00~
タイトル:伝統医療の特質と鍼治療効果
司会  埼玉医科大学神経内科 荒木信夫 
演者  埼玉医科大学東洋医学センター 山口智

○シンポジウム  10月31日(金)14:10~
タイトル:漢方・鍼灸療法の効果と自律神経系の関与
司会  埼玉医科大学東洋医学センター 磯部秀之 
埼玉医科大学東洋医学センター 山口智 

演者 

認知症治療における抑肝散の意義
  埼玉精神神経センター 丸木雄一
・慢性腎不全(維持透析)患者の鍼治療効果と自律神経機能
  埼玉医科大学東洋医学センター 小俣浩 
・機能性胃症に対する鍼治療の効果とその作用機序
  明治国際医療大学鍼灸学部臨床鍼灸学講座 今井賢治
・食欲不振に対する六君子湯の効果とその作用機序について
  埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科 屋嘉比康治  

 

ベビーマッサージ

詳しく分からないのですが、起こった事実は間違いないんですよね。「特殊な」ベビーマッサージを「無免許の施術者(あん摩マッサージ指圧師でない人)」が施術して2人が亡くなるという事故がありました。この手技は特殊なようですから、世のベビーマッサージと一緒くたには出来ませんのでご注意(ご安心?)ください。

基本的には赤ちゃんとのスキンシップの範囲内で刺激を入れるのは非常に有効だと思います。

 

ただ、うちは関係ありませんよっ!というベビーマッサージの団体もどうかなぁと考えます。

あるところは1日10万程度3-5日の研修で、元祖の外人先生から直接教えてベビーマッサージの講師になれます。(どんだけ儲かる商売してはるんでしょう!)しかもその大先生は母国では「保健師・保育士・新生児室の看護師など」に教えているそうです。そうです、何らかの下地のある人に対して、教えているのですよね(あくまでHPなどを読んでの解釈)。そこを全く素人に教えて施術したり人に教えることが出来ると言ったりするのはどうなんだろうなあ。

ま、その先生が母国で一般の方に教えていても良いです。そして、こちらでも、医療関係者が学ぶこともあるでしょうし、死んじゃうような危ないことは教えないでしょう。

それでも、なんだか、大家の権威を笠に高い受講料を払わされる人、それから派生して教室をして講師を造って施術して…宗家が儲かるビジネスですよねえ、すでに。いや、宗家が儲かるかどうかは知りませんが。

私はマッサージ師ではありませんが、無免許の問題は以前から色々言われています。一概に厳しく出来るものでは無いと思いますが、こういう事故が今後起こらないことを願います。

 

 

はてなブログ

はてなダイアリーを使ってきましたが、現在はてなブログを主力商品にしているとのこと、ここは是非移ってみようかと試しに移行。はてなダイアリーには11年前から?丁度100回書いてます。なんだか切りが良い。

文章の表示される幅が狭く、私の書く文の量はしれてますが、引用が長くなると読みづらい感じがします。レイアウト変えれるのか、色々試してみます。

とりあえずこれ(はてなブログ)でいっときます。

(2014/10/19 過去分取り込みました)

ご迷惑をおかけします

この土曜日7/19から、7/28でインドネシアへ行きます。18年前、青年海外協力隊で「鍼灸マッサージ師」として2年間赴任していた中部ジャワ州プマランが目的地です。
ジョグジャカルタからボロブドゥールを周遊し田舎町のプマランに行くので、ちょっと快適とはいかないコースも含まれているため、上の娘だけ連れて行きます。それでも、いつか家族を連れてきたいな、と(独身でしたので漠然と)考えていたことを実現できて幸せです。
娘はそんなに喜んでいないのですが(若干イヤがり気味(^^;))、日本がすべてじゃ無いのだと実感してもらえればそれで十分です。もう少し大きくなればついてこないと思いますので、小学3年の今が行き時だと思い切りました。

プマランでは、赴任していた視覚障害福祉施設「Distrarastra」に行って隊員時代の成果の定着具合を確認して、教員や生徒に何か指導できることがあればさせていただきたいと考えています。施設訪問自体は自己満足の範囲になるかと思いますが、プマラン滞在3泊4日、丸々2日は使えるので、せっかくですからお邪魔にならない程度に刺激を入れる事を狙っています。まあ、以前の職員がどれぐらい残っているかで話は変わってきます…。インドネシア人の知人の結婚式でプマランを訪問してから12年経ってますので、若干心細いところです。

最終日には、一緒に活動していたジャカルタ在住の土井隆行さんにも久々にお会い…という話をメールでしていたら、土井さんに先手をこされて日本帰国の際に我が家に寄っていただきました。うちの娘と同学年の男の子が居るそうですので、楽しみにしています。

…というわけで治療所は19日から28日の午前診まで休ませていただきます。代わりと言っては何ですが、お盆休みはいただきませんので、お盆期間中も遠慮無くご予約ください!

影響あり?

一般的に甲状腺がんはどのくらいの確率で起こるのでしょう?小児の場合、100万人に1-3人と書いてあるサイトがありました。放射線被曝とがんとの関連性3 | トピックス | 日本臨床検査薬協会
積極的に調べから増えるのでは、ということをwikipediaには書いてありましたがハッキリした根拠は無さそうでした。でも、ある程度はあり得ますね。
今回の調査では小児だけで無く18歳まで含んでおりますが、分母は100万人ではなく、37万人ですし、どうも多いですね。ただし、影響の度合いをハッキリさせるために調べているので…にしても、星北斗という人の「考えにくい」ってコメントはどうでしょう??上記リンクのサイトのグラフでは2,3年で影響がそこそこ出ているように見えます。

子どもの甲状腺がん50人 放射線の影響は否定 疑い39人、福島健康調査
共同通信社 2014年5月20日(火) 配信

 東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康調査」の検討委員会が19日、福島市で開かれた。実施主体の福島県立医大が、甲状腺がんと診断が「確定」した子どもは前回(2月)の33人から17人増え50人に、「がんの疑い」は39人(前回は41人)になったと報告した。

 検討委の星北斗(ほし・ほくと)座長は、チェルノブイリ原発事故では、事故から4〜5年後に子どもの甲状腺がんが増加したというデータを基に「現時点では放射線の影響は考えにくい」と、これまでの見解を繰り返した。県立医大によると、確定した50人は全員手術を受け、通常の生活をしているという。

 甲状腺検査は、震災発生当時18歳以下の約37万人が対象。今年3月までに1巡目の検査が終わり、4月からは2巡目の検査に入った。1巡目に比べがんが増えるかを比較して、放射線の影響を調べる。

 1巡目では、約28万7千人の1次検査の結果がまとまり、2070人が2次検査の対象となった。1次検査は、超音波を使って甲状腺のしこりの大きさや形を調べ、軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定し、BとCが血液や細胞などを調べる2次検査を受ける。

以下略

血圧をどれだけ下げるか

 人間世界と同じく?医療の世界でも絶対これが正しいってことは無いわけです。「今」の技術や知識の及ぶ範囲で、体質によって、場面によって、年齢によって、収入によって(日本は幸せ)、「思い」によって、変わります。しかも、「今」の技術や知識は、ほんのわずかな期間で変わり、服薬する・しない、手術する・しない、で違う結論を導き出すことになります。隣町のお医者さんが違う診断をすることもあります。
 良い、悪いでは無く、医師でさえそんなものだ、限界のあるものなのだと思っておく必要があります。すべてお見通しだ!とはいきません。

 私がこの世界に入った20数年前、腰の痛みがある患者さんは、ヘルニア、ヘルニアおっしゃっていました。診断を受けておられなくても腰が痛いと「ヘルニアかしら?」と言った具合です。座骨神経痛、と言う方も多くおられました。我々が治療してもヘルニアがあるから(治らない)と思い込んでおられるわけですが、でも、やはり、治療して楽になる日が出てくると私はこう言います。「ヘルニアが神経を圧迫しているなら、今日が楽で昨日が痛いとか、そんな差が出るのはおかしくないですか?そんなに出たり引っ込んだりするものじゃ無いですよ」患者さんは何となく納得されて希望を持つのですが、また少しぶり返すと「ヘルニアが…」と椎間板のヘルニアが神経を痛めつけてるイメージが出てくるのです。その頃はCTぐらいでしたが、やはり画像で見せられ、痛みの原因はこれだよと言われると焼き付いてしまうんですね。
 ところが、今ではどうでしょう。腰痛で椎間板のヘルニアがどうこう言われることがかなり減っております。整形外科がやっと我々に追いついてきました(^^;)。おかげで飛び出た椎間板をイメージして悩む患者さんは減ったと思いますし、それを除くための手術もされることが減りました。もともと手術は成果が五分五分だとか、長期(10年後とか)でみたら、してもしなくても同じ結果だというお勧めしにくい商品であり、本当にヘルニアが原因なのか?ということと、飛び出たところが分解されて無くなる事が分かってきたこともあり、厳格に適用された結果、手術は減ったわけです。

・医療は改良され進化していく。その前提として、今は完全では無い。
・医師による診断は、時に悪いイメージの植え付けになる。患者側がそれを求めてしまう。
鍼灸師にもできることがあるぞ(^^)/

一般論で済みませんが、患者さんから聞いて、これいかんなあと思うことです。

運動機能について医師は自分の範囲を超えると:
「年のせい」で片付けるのですが、自分の持っている枠内でできることはあるわけです。
時流に乗った「ゴミ箱診断」をする。今なら脊椎管狭窄症とか。

ただし、医療の世界は進んでいます。4000年の伝統とかいって安穏とはできないのです。というか、していません。我々鍼灸師も常に進んでいくのであります。整形もずいぶん進歩しました。それには、患者さんを直接触るリハビリのフィードバックが大きいと思います。リハビリ分野での成果を取り込みつつ、負けない鍼灸を目指していくべし。

 すみません、まとまりなく関係ない話が続きました。

 そんなわけで、タイトルに戻ります。あくまでガイドライン、これまた絶対視することはいただけませんが、今の段階でより多くの人に当てはまる、より良さそうな結論が、実用的な範囲に収まって、製薬会社の陰謀(無駄に血圧を下げさせる)だ!とか言われない方向に進んだと言うニュースです。まじめに上を140までにしなくては!、と考えていた75歳以上の方は、ほっとして血圧が下がるんじゃないでしょうか(^^;)

高血圧ガイドラインを改訂 「二重基準」を解消
共同通信社 2014年4月2日(水) 配信

 日本高血圧学会は1日、2009年以来5年ぶりに改訂した医療者向けの手引「高血圧治療ガイドライン」について東京都内で説明会を開き、高血圧の診断基準値と降圧目標値を統一するなどの要点を発表した。医療現場からは「"二重基準"が解消され、治療が進めやすくなる」と評価する声が上がっている。

 改訂版では、高血圧の診断基準(降圧薬治療開始基準)は従来の「収縮期140以上、拡張期90以上」を維持。一方、血圧を下げる努力目標である降圧目標を「若年・中年者高血圧」の場合、「130未満、85未満」から「140未満、90未満」に改訂し、診断基準と統一した。75歳以上は「140未満、90未満」から「150未満、90未満」に変更。糖尿病の場合などは変更しなかった。

 このため、例えば「収縮期134、拡張期84」に血圧が下がった若年・中年者高血圧患者は、これまでと異なり降圧目標を達成することになる。

 また医療機関で測る「診察室血圧」より、原則として家庭で朝晩各2回ずつ測定する「家庭血圧」の平均値を、治療上優先することも明記した。

 ガイドライン作成委員長の島本和明(しまもと・かずあき)札幌医大学長は、降圧目標の変更について「降圧薬の治療開始基準との間にギャップがあり、医療現場に混乱を招いていたので是正した」と説明。「より実用的なガイドラインになったと思う」と話している。

 ※降圧目標

 高血圧治療で血圧を下げる目標となる数値。年代や他の病気の有無によって数値が異なる。旧高血圧治療ガイドラインで、降圧目標は本来"努力目標"として設定されたが、医療現場では「達成が半ば義務化」(医療関係者)していた。降圧薬を使っても、これまでの降圧目標の達成は一般的に難しいとされ、有用性を疑問視、批判する声も上がっていた。

引用以上

そこは違います

「がん」と「がんもどき」というキャッチフレーズで医療否定する近藤誠医師に対する反論本を出したということで、長尾和宏医師がインタビューを受けております。
「平穏死、尊厳死、自然死」について考えるために3冊の本を読んでみましたが 読書の初夏 - 喜多鍼灸院日誌 、そのうちの一冊が長尾医師の「平穏死10の条件」でした。この3冊の筆者の医師方も正当医療?の医師たちからはあまり相手にされてこなかったわけですが(少し気運の変化はあるでしょうけれど)、同じく相手にされない近藤医師に対して真っ向反論というわけです。近藤医師の名前は知っていても本は読んでなかったんで、お仲間じゃなかったのね?という感じもしましたが、インタビューを読むとなるほどでした。
m3というサイトもログインしないと読めないので、インタビュー3回分、どどーんと引用します。こんなん、いいのかしら、どうもすみません m(_ _)m 先に謝っておきます。

要点:「患者さんに正しい情報を繰り返し伝え、「近藤理論」には断固として反対しなければいけませんが、同時に「近藤誠現象」に対しては、素直に受け止めて、検証しなければいけない、というが私の意見です」現状の医療のあり方で良いわけでは無い。

『「医療否定本」に殺されないための48の真実』上梓のわけ - 長尾和宏・長尾クリニック院長に聞く
2013年11月19日(火) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
 『「医療否定本」に殺されないための48の真実』(扶桑社)を今年7月に上梓した、長尾クリニック(兵庫県尼崎市)院長の長尾和宏氏。この11月の『週刊文春』には、長尾氏への取材記事、『近藤誠先生、あなたの“犠牲者”が出ています』も掲載された。反論の矛先は、言うまでなく、『医者に殺されないための47の真実』(アスコム)などで、「がんもどき理論」に基づく「がん放置療法」を唱える近藤誠氏。
 医療界では、この近藤理論に異議を唱えても、公の場に出る医師が少なく中、あえて批判覚悟で反論の矢面に立ったのはなぜか……。長尾氏にお聞きした。話は、長尾氏のライフワークである平穏死まで及んだ(2013年11月7日にインタビュー。計3回の連載)。
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長尾 和宏(ながお かずひろ)氏 長尾クリニック(兵庫県尼崎市)院長
1958年生まれ。1984年東京医科大学卒業、大阪大学第二内科に入局。1995年兵庫県尼崎市で開業。医療法人裕和会理事長、長尾クリニック院長。常勤医6人、非常勤医7人の体制で、常時約300人の在宅医療を展開。『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)などの著書で知られる。


――『「医療否定本」に殺されないための48の真実』を書こうと思われたのは、いつ頃からでしょうか。
 僕自身、ずっと考えてはいたのです。これまでも反論を試みられた先生はおられますが、なかなか論破できないでいた。そうした時に、扶桑社から連絡があり、「誰も書く人がいない」と。全国のがんセンターの関係者などにも当たったようです。
 「長尾先生は、どう思いますか」と聞くので、「(近藤氏の理論は)極論に走っているので、犠牲者がたくさん出ていますよ」と答えたら、「それをそのまま本に書いてくれませんか」と。実は、原稿では最初、「ある人は」としていた。けれども、それでは分からないので、近藤先生の実名を入れた。他にも「医療否定本」を書かれている方はいますが、ターゲットを絞った方がいいと思ったからです。
――「犠牲者」とは。
 近藤先生は、「がんもどき理論」「がんは放置せよ、早期発見はしなくていい」などと主張している。しかし、ご自身で、「近藤誠がん研究所」を開き、セカンド・オピニオン外来をやっています。30分で3万円です。「抗がん剤治療は無意味だから、やめなさい。ホスピスに行きなさい」で3万円ですから凄い。この外来を受診し、そんなことを書かれた紙を持った患者さんが、当院を泣きながら訪れています。変ですよね。
 近藤理論を否定する本を書けば、返り血を浴びることは覚悟しています。やめようとも思いました。けれども、汚れ役を誰かがやらなければと考えた。売れなくてもよくて、まずは言論界に出せば、読む人は読む。中身を読んでいただけば分かりますが、医療者から見れば当たり前のことしか書いていない。でも、間違っていることは、患者に向かって、はっきり「間違っている」と言わないといけない時が来たと。
――当たり前のことを、当たり前に言っただけだと。
 そうです。偶然ですが、日本医事新報の最新号(2013年11月2日号)に、「『白い巨塔』の主人公、財前五郎のモデルとなったと言われる、神前五郎・大阪大学元教授が「がんもどき理論」を批判しています。神前先生は、『週刊朝日』で近藤先生と対談していました。近藤先生を支持する立場からは、「近藤先生を認めた、賛同した」といった声も聞かれ、十分に真意が伝わらなかったと考えたため、寄稿されたのでしょう。
 神前先生が、言っていることは僕と同じで、「がんもどき理論」は、後出しジャンケンと言っています。幾つかの点を挙げ、医学的にいかに間違っているかを非常に細かく考察され、最後に、「医学の進歩に伴う早期発見・早期治療のメリットを否定し、無理やり100年以上の昔に戻ろうとしている」「がん放置療法に対して、全国の医師たちは断固として拒否の立場を崩さず、間違った行為にくみしないでもらいたい」と結んでいます。
 神前先生は、94歳になられます。ご高齢の先生がこんなことを言わなければいけない状況は、どうなのでしょうか。近藤先生の極論は、最近は、がん医療にとどまらず、コレステロールとか血糖にも及んできた。なぜ関係学会は怒らないのか。だから、神崎先生は、「全国の医療者よ、立ち上がれ」と言ったのでしょう。
――「がんもどき」も、中にはありますがが、最初の診断の時点でその見分けが全て付くわけではない。
 はい。近藤先生は、「がんもどき」と「本物のがん」しかないと言っている。けれども、実際には、その間にたくさんの状態があり、進行し、状態が変化しているがんもある。そのいずれに当たるかは、診断の時点ではなかなか分からない。だから臨床の現場では苦労をしているわけです。
 しかし、一般の方だけでなく、メディアの方も、「がんもどき理論」を信じている人が多いようで、『「医療否定本」に殺されないための48の真実』を上梓した後も、「どこが間違いなのですか?」と毎日のように取材を受けます。がんもどき理論が医療界の常識だと思っている。「医療界では、誰も認めていない」と説明すると、「でも(近藤先生の)本は、100万部も売れているじゃないですか。世間で認められているからじゃないですか」と言う。 言うのは勇気が要るし、実際に返り血も浴びている。僕の人間性まで否定されることもある。それだけ、一般の方は“洗脳”されているわけです。覚悟はしていましたが、本を出して、そのことが改めて分かりました。
――そもそも「医療否定本」と言われる書籍は、何冊も出版されていますが、なぜここまで売れるとお考えですか。
 抗がん剤の副作用や精神的な苦しみなど、患者の「トータルペイン」に医療者が寄り添っているとは言えない現実があるからでしょう。がん医療は、患者に寄り添い、二人三脚で行うものです。抗がん剤治療は、医師が思う以上に副作用が出ることが多い。医師はそれでも医学的が見地から、「続けなければダメだ」と言う。その結果、医師と患者の間に溝ができ、「抗がん剤に殺された」と思う患者も出てくる。
 そこに「近藤誠」という、患者の代弁者が現れた。「がんもどき理論」や「がん放置療法」が評価されたのではなく、「患者の立場に立って、医師の悪口を言った」ことに意味があった。医師なのに、患者代表として言った。しかし、僕から言わせれば、これは医師の仕事ではない。
 「Amazon」のレビューを見ると、多くは、本に対する批評ではなく、自分や家族が受けた医療への不満です。あそこに書かれている膨大なレビューは、現代医療への恨み、つらみ、慟哭のようなもの。その受け皿にたまたま彼がなった。

――近藤先生は、苦しく、不満や不安を持っている患者の声を受け止める役割となった。
 迷える患者にとっては「教祖」のような存在、と言ってもいい。それに対し、批判を言うような僕は、返り血を浴びる。ネットなどで徹底的に攻撃される。「教祖」に仕立てた張本人は、文藝春秋でしょう。スポンサーが「菊池寛」賞など、お墨付きまで与えている。
――その文藝春秋が、『週刊文春』に、長尾先生の反論を掲載した。
 はい。『週刊文春』の11月14日号に、僕の取材をまとめた記事が載っています。先々週も1日講演を取材し、また先週も取材に来て、やっと理解してくれるようになった(編集部注:インタビューは2013年11月7日に実施)。「僕たちは、間違ったことをやってきたのではなかいか」と、ようやく気付き始めたのかなと思った。
 『週刊文春』記事のタイトルの候補として、編集者が当初考えたタイトルは、『近藤誠は人殺し』のような過激なもの。正直、自分たちが持ち上げた医師を、人殺し呼ばわりするのか、と驚きましたが。
 けれども、それはやめてもらった。校了直前になって、『近藤誠先生、あなたの“犠牲者”が出ています』が提示され、「もう変えられない」と観念。“犠牲者”という言葉は使いたくなかったけれど、出版社側が「どうしても」と押し切り、そのまま掲載されたというのがいきさつです。
――改めてお聞きしますが、『「医療否定本」に殺されないための48の真実』で一番、主張されたかったことは。
 本を上梓したのは、近藤先生に何かを言いたかったわけではなく、患者さんにもっと賢くなってほしいという思いからです。僕が最近出版した本の印税は、全て東日本大震災被災地支援に充てています。僕は医師ですから、本で儲けるつもりはありません。本を出すのは、虚栄心か、功名心か、目立ちたいのか、などといろいろ叩かれますが、それは違います。「賢い患者」になってもらうため、正しい情報を患者さんに伝えしたいだけです。医療の基本はインフォームド・コンセント下での患者の自己決定と医師との信頼関係であり、誤った情報に基づいて判断したのではダメだと言うことを啓発しているのです。
――長尾先生には、本の上梓以降、近藤先生との対談のオファーも各社から来ているとお聞きしています。
 はい。けれども、全部断っています。単独インタビューだけはお引き受けしました。原発に賛成か反対か、TPPや混合診療に反対かどうかについては、議論ができる。しかし、「がんもどき理論」「がん放置療法」は、極論の妄想とも言え、論理的に反論するのは難しい。それは神崎先生も言っていますが、論理が破たんしているからです。
――医学的な議論だったら、同じ土俵に立ち議論できますが、そうではない。
 一般の人の中には、「がん放置療法」は世紀の大発見だと本気で思っている方もいる。天道説が地動説に変わるような、大発見だと。しかし、真実はそうではない。
 ただ、終末期の延命治療については今、大きな転換期にあります。僕は、平穏死を唱えていて、2012年夏には『「平穏死」10の条件』を上梓していますが、一般向けの講演会には呼ばれても、医療界からはなかなか声がかからなかった。僕を呼ぶかどうかが、医療界では“踏み絵”になっている。石飛幸三先生や中村仁一先生など、僕と同じような主張をされている先生方も、事情は同じだとお聞きします。
――昨年、インタビューをさせていただいた時、同様のことを言われていました(『「延命治療大国、日本」へのアンチテーゼ』を参照)。
 病院の職員が講演会を企画しても、幹部が中止したこともあった。開催する場合でも、場所は病院外だったこともあります。先日もある病院が講演会を企画したところ、理事長が怒ったらしく、結局は地元の医師会館でやったのですが、300人も参加者が来た。その理事長も聞きに来ていたのですが、「なんだ、そんな話だったら、院内でやればよかった」と。聞いてもらえば、理解してもらえる。最近はやや変わってきており、大学などからも講演を依頼されるようになりました。
 それでもまだ多くの人は、平穏死を信じていない状況にあり、医師や看護師の多くは、平穏死を一生知らずに、仕事を終えるのでしょう。石飛先生や中村先生も、平穏死を言い出すまで長年かかったと言っています。いくつかの大学病院の先生に、「平穏死はできますか」と聞いたことがあるのです。そしたら、「うちはできません。大学病院では、最期の最期に、延命治療をやらないことは考えられません」と。僕と、近藤先生は終末期医療に関しては同じだと考えている人も多いようです。
――それはなぜでしょうか。
 「医療は不要」という点で、同類だと思われるのでしょう。しかし、僕が唱える「平穏死」は、医療を否定しているわけではなく、終末期に不要な医療はしなくていい、緩和医療は必要という主張です。命を助けられる医療はもちろん否定なんてしない。医療はものすごく発達している。発達しすぎて、時にやりすぎることもある。しかし、歴史的に見ても医療自体は可能性に溢れるのに、全否定しても、患者さんの幸せにはつながりません。
――先生は「平穏死」を押しつけているわけではない。
 もちろんです。平穏死したい人の意思を尊重したいだけ。終末期医療のことと、助けるための治療を分けて考えている。しかも、抗がん剤治療は、パラダイムシフトの前夜にあります。分子標的薬が進歩し、FAS(脂肪酸合成酵素)阻害薬やがん幹細胞療法などの研究も進んでいます。抗がん剤の副作用が大幅に軽減され、効果が高い薬が出る前夜なのです。もちろん、これを奏功させるための遺伝子検査が可能な時代になった。ただ、どこまで保険で認めるか、という問題もあり、TPPや混合診療の問題とも絡んできます。
 既にヒトの全遺伝子が簡単に調べられるようになっている。家族ががんになったら、遺伝子を調べる。乳がんの予防的切除に代表されるように、予防医療も広がってきています。

――「医療否定本」は、医学の進歩の否定につながり、患者は恩恵を受けられなくなる。
 そうです。遺伝子検査による、オーダーメイド抗がん剤治療。乳癌の分子標的薬トラスツズマブは、「HER2陽性の乳癌」の治療です。臓器別ではなく、遺伝子別の抗がん治療が行われるようになっています。がんだけでなく、アルツハイマー病など多くの病気の原因遺伝子が簡単に分かる時代です。
 各種疾患の発症が予測できるようになりつつある今、、遺伝子カウンセリングに対応できるのか、という問題も生じてくる。こうした情報が、がん登録や各種疾患データベースに登録されていく。単に遺伝子検査を行うだけでなく、情報をどう管理し、いかに利用するかに関する議論が必要な時代なのです。しかし、医療自体をを否定していたのでは、こうした医学の進歩に伴い生じる諸問題を解決していくのも極めて難しくなります。
 こうした問題は避けては通れない。なぜなら、米国では遺伝子検査がかなり普及してきているからです。医療機関を介さずに、一般の方がダイレクトに民間の検査会社に申し込んで、実施できる。保険会社による管理医療や、優生思想に結び付く可能性も十分ある。
――生殖補助医療が代表例ですが、医学が進歩すれば、倫理的な問題が生じ得る。
 個々人のがんの遺伝子に応じた、抗がん剤を選択できるようになり、「一か八か」、あるいは「宝くじ」的な時代から、オーダーメイドの医療ができるようになっているわけです。遺伝子医療時代の功罪を踏まえ、議論していくことこそが問題の本質なのです。
――医療者だけでなく、患者さんも交えて、こうした新しい課題にどう対応していくべきかを考える必要がある。それなのに、「医療を全否定」されると、思考停止に陥ってしまう。
 その通りです。
――『「医療否定本」に殺されないための48の真実』を上梓されて約3カ月ですが、反響がいかがでしょうか。
 知り合いからは、「良く書いてくれたな」などと、時々言われますが、医師には僕の本はほとんど読まれていないですから、反応は少ないですね。またがんセンターの先生方が無反応なので、正直、がっかりしています。まあ、どうでもいいのでしょうね。
 週刊誌の記者たちも、本のタイトルだけ見て、僕のところに来る。本の内容は読んでいない。それで、「(近藤先生の主張は)何が間違っているのか」と聞く。理解してもらいたいという気持ちはあるので、記者たちには何回も何回も説明していますが。僕が書いていることを本当に知りたいのであれば、僕の最近の本をぜひ何冊か読んでいただきたい。
――メディアや患者さんに正しい情報を伝えるためには、医療者がいろいろなところで主張していく以外にない。
 近藤先生は、故中村勘三郎氏の医療も批判しています。彼は食道がんでしたが、手術や抗がん剤治療は成功した。けれども、その後、肺炎になり、それが悪化し、死亡している。食道がんへの抗がん剤と手術は、彼の免疫能を低下させ間接的には影響を及ぼしたのかもしれませんが、直接の死因は違う。誤嚥性肺炎で亡くなっています。では、同じ食道がんで、食道切除をした桑田佳祐氏はどうなのか。彼は、コンサートをやるまで復活している。
 医療は不確実。手術は成功したけれど、術後、MRSAで死亡することもある。それを手術しなければよかった、というのは、「後出しジャンケン」。がんもどき理論から、がん放置療法という仮説には、論理の飛躍が多すぎる。
 患者さんに正しい情報を繰り返し伝え、「近藤理論」には断固として反対しなければいけませんが、同時に「近藤誠現象」に対しては、素直に受け止めて、検証しなければいけない、というが私の意見です。
 僕は、「近藤誠現象から見えるもの、学ぶべきもの」に興味があるのです。彼の本は、がんで家族を失った家族の心情を救った。現代医療への批判であり、それらは謙虚に受け止めないと、より良い医療を築いていくことはできません。繰り返しになりますが、Amazonに書かれている近藤先生の本の読者のレビュー、患者の慟哭、現代医療への大きなクレームを、がん医療に携われる方はぜひ一読すべきでしょう。
 一方で、『医者に殺されないための47の真実』は、ミリオンセラーになりましたが、多くの患者さんは抗がん剤治療を続けている。この現状をどう考えるのかも問いたい。
 僕自身は、町医者であり、予防と早期発見、そして終末期医療が本業。『「医療否定本」に殺されないための48の真実』には、データはあえて入れていません。僕自身、エビデンスを作る側でもない。1995年に開業して以来、在宅で看取った患者さんは700人以上に上り、臨床経験では負けないという自負があります。臨床経験に基づいた正しい情報を患者さんに伝える取り組みを続けていきます。
 今回の週刊誌報道は、まだ発端と感じた。「近藤誠理論」の間違った部分はちゃんと否定しなければいけない。しかし、本屋の店頭にはあまりにも「医療否定本」が多い。それに対して正しい情報を提供するのが私の勤め。今はその第一段階の作業をしているわけです。今後も、難しいことを、やさしく分かりやすく、伝えていきたい。
 また、この9月には、これまでの思い、今の全精力を込めて、『抗がん剤10の「やめどき」〜あなたの治療、延命ですか?縮命ですか?』(ブックマン社)を上梓しています。本業である終末期医療の一環で、抗がん剤治療の在り方なども一緒に考えてほしいと願います。

引用以上。





インフルエンザ予防接種について

ワクチンの過信に注意 昨冬のインフルエンザワクチン、効果減弱の理由 2013/12/3 増谷 彩=日経メディカル

 今年もインフルエンザの流行期が目前に迫ってきた。昨シーズン(2012/13年シーズン)は、患者の2割を高齢者が占め、ワクチンを 接種した高齢者でもインフルエンザを発症するケースが多く報告された。インフルエンザワクチンを接種すれば発症を完全に予防できるわけではないが、昨シーズンは、ワクチン接種後の抗体価上昇が不十分だったり、ワクチン製造株と流行株との抗原性一致率が低かったという事実を指摘する声もある。果たして、ワクチンの効果は減弱していたのだろうか。そして今シーズンの展望は――。

と、書き出すこの記事、興味を引きますねぇ。
昨年のワクチンの効果がいまいちだったのは事実としてあるようですが、型の選定は良かったとのこと。

インフルエンザワクチンの効果が最大限に発揮されるには、そのシーズンのワクチンとして選定したウイルス株(ワクチン株)と、実際に流行したウイルス株(流行株)の抗原性が一致する必要がある。国立感染症研究所(感染研)によると、2012/13年シーズンのインフルエンザウイルスは、香港型のA(H3N2)型を主流とし、A(H1N1)pdm09型、B型が入り交じる3種混合流行だった(IASR Vol.34,p.328-334:2013年11月号)。
 分離された流行株について、ワクチン株と抗原性が一致する割合を解析したところ、H1N1型ワクチン株は95%、H3N2型は98%、B型は100%と極めて高かった。つまり、昨シーズンのワクチン株の選定自体は適切だったことが分かる。

じゃあなぜ効かない?

 国立病院機構熊本再春荘病院リウマチ科部長の森俊輔氏は、「インフルエンザワクチンを接種した後の抗体価が十分に上昇していなかった可能性があるのではないか」と語る。
 森氏は、2012/13年シーズンに同院でインフルエンザワクチンを接種した看護師62人について、接種前後の抗体価を調べた。その結果、抗体陽転率は20%程度であることが分かったという。抗体保有率については、H1N1型では70%を越えたものの、H3N2型とB型は50%に留まったという(論文投稿中)。「これは、欧州医薬品庁(EMA)が行う有効性評価の基準値に達しない数値。欧州であればこのようなワクチンは出荷されない」(森氏)。

日本では「ヒトが接種した場合の抗体陽転率や抗体価を確認する試験などは課されていない。一方、欧州ではEMA基準に基づいてヒトにおける有効性を満たさなければ出荷できない。このEMA基準は、インフルエンザワクチンの有効性の国際的な評価基準にもなっている」とのこと。
えっ、そりゃないでしょ!製薬会社の言いなり?と思ったら違う結果も出ており、日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の調査では例年並みかそれ以上に抗体価は上昇しているそうです。でも、この会が調べた結果でも成人のワクチン有効率は低かったそうですから、きちんと国が基準を定めて、それをクリアしたワクチンであって欲しいですね。

いずれにしても、いろいろな条件により、

「インフルエンザワクチンを接種しても、抗体価が十分に上がっていない可能性があることは常に念頭に置いておかなければならない」

ということだそうです。
しかも、ワクチン製造には増殖しやすい交雑株を使用するため、遺伝子に変異が生じ…

つまり、実際に製造されるワクチンは、抗原性がワクチン株と完全に一致するわけではないのだ。

なんか、効く気がしなくなってきました。それが、昨年のはひどかったようです。誰の責任?
今年のは変異が少しましな株を利用するとのことです、具体的にはいまいちイメージ出来ませんが、そういうことです。
〆がこれ

「まずはウイルスに曝露しないことが第一。入院施設や老人養護施設などの場合は、インフルエンザの時期に外部からウイルスを持ちこまない配慮、すなわちマスクの着用や手洗いの励行など基本的な対策を徹底すべきだ」

なるほど。

規制改革会議

規制改革会議の混合診療がらみの話題です。
混合診療については、そこまで表に出てくることは無いかと思っていましたが、やはりわかりやすいテーマであることもあり、食いつかれていますね。確かに、すぐでなくとも保険制度の根幹に関わってくる部分です。
選択肢が増えて喜ばしい反面、すぐ思いつくデメリットとして評価の確定しない治療が氾濫するでしょうし(助産師に流行っていたホメオパシーが問題になりました)、「金額によって受けられる治療が変わる」ことを推し進めるでしょう(規制改革の目的はここですかね、営利化…今でもそうでしょうけど)。

規制改革会議
混合診療、認めない論拠を示すべき」
2013年11月19日(火) 島田 昇(m3.com編集部)

 政府の規制改革会議(議長:岡素之・住友商事相談役)は11月19日、混合診療について議論、委員からは混合診療が認められていないことを疑問視する声が続出した。次回以降、厚生労働省混合診療を認めない論拠を示すよう指示した。

 会議後に会見した岡氏は、保険外併用療養制度の推進については評価するものの、「評価療養」か「選定療養」に該当しなくても、安全性が確認できれば「混合診療を認めてもいいのではないか。それが駄目なのはなぜか」と指摘。有効性と安全性が確認された医療は保険適用となり、必要な医療は保険診療で行うことが基本などとする厚労省の説明に「納得できる説明ではない」との意見の委員が大半だったという。財政面でも、積極的に混合診療を容認していかないと、増加する国民医療費の抑制が難しいとする意見があった。

 11月28日開催の公開討論会では、保険外併用療養制度がテーマの一つになっているが、議論は混合診療に発展する見通し。公開討論会の公開方法としてインターネット中継を実施することも決まった。

 公開討論会を経て、今年内に規制改革会議としての意見を取りまとめる方針で、方向性としては混合診療の容認を要求する見通しだが、一方で「全面解禁ありきでの議論ではない」ともした。

以前にも書きましたように鍼灸ごときについては問題にされないでしょうけれど、全面解禁であれば、必然的に巻き込まれる(取り込まれる。…ん、そやなあ、取り込まれることにしよう!)ことになります。薬のネット販売も結局は完全な形では出来ておりませんから、混合診療がすっぽり認められることはないでしょうけれど。ネット中継観てみよう!